建築の人間性

ある人と初対面の時に、相手方の話す方法や話す内容、身嗜みなど表面的なものが頭に入ってくる。

それは相手がどう見られたいかなど技術的なことも少なからずある。

でも中には、表面的なものと一致せず、その人の柔らかさとか厚みに感心したりすることがある。

日頃何を想って暮らしているとか、人知れず背負っているものがあるとか、

そうしたわからない「何か」発酵したものが匂い立つ。

唐突に人間を建築に置き換えてみる。

骨や皮膚、臓器やリンパ液などの機能は木組みや壁や設備、生活動線かもしれない。

機能としては存在しているが、応答として愛着は薄い。

建築に、わからない「何か」が匂い立てば住む人と相互に厚みを増していくと思う。

その、わからない「何か」を探究したい。