Art

不連続の連続

茶碗の中の宇宙 ROR co.,ltd(ロール株式会社)

利休の黒茶碗を作った楽家の初代長次郎から15代吉左衛門、次期16代篤人まで

それぞれの世代の茶器が展示された『茶碗の中の宇宙』へ。

初代長次郎(16世紀)が利休から依頼された華美を削ぎ落とした黒く無釉で粗野な形。

三代 道入(17世紀)が本阿弥光悦に教えを受けて作風を練ったり、逆に道入に

習い作った赤楽茶碗 『乙御前』は肉厚薄く椿の花が風に靡くような形。

15代 吉左衛門(現在)焼貫黒楽茶碗は破れる寸前まで焼き貫き強烈。

吉左衛門の茶碗にはサブタイトルがつけられていて

•『厳上に濡洸ありⅢ』厳裂は苔の露地 老いの根を噛み  とか

•夜起対月(よるおきてつきにたいする)  とか

作風も器から飛び抜け精神世界が現れています。

器という括りだけの自由表現が『不連続の連続』といわれる所以です。

15世代も続く葛藤にしびれる。

應挙

應挙 Living Nine

根津美術館の円山応挙展へ

江戸中期(1733〜1795)

ぜひ見たかった龍門図。

3幅で一対。

黄河の急流を登ると龍になれるという鯉の滝登り。

真ん中の絵、勢い流れ落ちる水を描かず白抜きで表している技法。

その奥に鯉が体も捩らせず弾丸のように上を目指す。

鯉は精緻に描かれ、眼は一点を見据え覚悟ある表情。

左右の穏やかな絵が対比になって余計際立つ。

ゆさぶられる一枚。

手の跡

大平實展 Living Nine

井原市の田中美術館で開催されている大平實展

副題が『砂漠からの風』とあるとおり作品の背景には乾いた空気が

感じられ言葉ではなく体と手の感覚で削りだした原始な発信。

高さ約4mもある作品の周りを何回となく歩き微妙なラインに感動

するのでした。